インプラント周囲炎治療より予防が第一!術後ケアの重要性

インプラント治療後のリスク、インプラント周囲炎とは

歯に埋め込んだインプラント体のぐらつき

インプラント周囲炎は、治療後の不摂生が原因で起こるものです。もし、インプラントを埋め込んだ後にグラグラと揺れて不安定な感覚がある、インプラントの周りの歯肉に炎症が生じているといった症状がみられるようなら、インプラント周囲炎の疑いが強いのですぐに診察を受けましょう。インプラント周囲炎の原因や症状、歯医者で行う治療法について紹介します。

インプラント治療後の『ケア怠慢』が原因!

プラークコントロールをしている患者と歯科医師

インプラント周囲炎は感染症です。インプラント体や、歯肉や歯槽骨などインプラントを支える歯周組織に、細菌が感染することで起こります。天然歯に起こる歯周病と発生原理が同じであるため、「インプラントがかかる歯周病」などと形容されることもあります。

治療後のケア怠慢が、インプラント周囲炎の最も多い原因です。インプラントの埋入手術後に、患者さまご自身で行っていただくべきホームケアを怠ると発症リスクが高まります。また、歯医者の定期健診(メンテナンス)を怠ることも原因になります。ここでいうケアとは、歯に歯垢や歯石がつかないようにする対策、すなわちプラークコントロールです。

インプラント周囲炎の症状は、炎症や骨吸収

インプラント周囲炎の症状は、歯周病の症状と共通しています。インプラントの周りの歯肉が炎症を起こし、歯周ポケットが深くなり、歯槽骨や顎骨が吸収され、骨吸収がひどくなるとインプラントが脱落することもあります。インプラントやインプラントを支える大切な歯周組織が、重いダメージを受けるのです。

厄介なことに、インプラント周囲炎は、普通の歯周病よりも早いスピードで進行します。人工歯のインプラントには、細菌の侵入を抑止する歯根膜というバリアがないためです。インプラント周囲炎が進行すると、インプラント脱落のリスクが高まります。脱落を防ぐためには、迅速に歯科治療を受けることが必要です。

インプラント周囲炎の治療方法はさまざま

患者さんに対するプラークコントロール指導、機械的歯面清掃(PMTC)、殺菌療法、抗菌療法などが、インプラント歯周炎に有効な治療法とされています。細菌学的検査、噛み合わせのチェック、ブラキシズム(歯ぎしり)への対処も、効果的にインプラント周囲炎を治療していくうえで欠かせません。

以上のような非外科的療法を行っても、病態が良くならない場合は、外科的療法を行うことがあります。切除療法や再生療法などの外科手術が、それにあたります。

歯肉を切開し、インプラント体の除菌や歯周ポケットの除去などを行うのが、切除療法です。組織移植で、減退した歯肉や骨のボリュームを増やすのが、再生療法です。再生療法には、骨移植、メンブレン膜によるGTR法、遊離歯肉移植術など、多くの種類があります。

喫煙習慣や糖尿病もリスクファクターになる

たばこをゆびにはさめている

タバコや糖尿病を代表とする全身疾患は、インプラント周囲炎の発症や進行に拍車をかけるリスクファクターです。したがって患者さんにタバコ習慣や糖尿病がある場合は、それらへの対応も視野に入れながら、インプラント周囲炎の治療を進めていく必要があります。

インプラント周囲炎は、早期治療やケースに応じた適切な治療が大切です。しかし、治療よりもっと大切なのが、ケアやメンテナンスなど予防に努めることです。改めて正しいプラークコントロール方法を学びたい方、すでに罹患してしまっていないか心配な方は、お早目に当院にご相談ください。